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国内新車のエアバルブシェア100%!
太平洋工業様の工場に潜入レポート

更新日: 2015/06/15

mamechisiki

ホイールに必ず装着されているエアバルブ。日頃なにげなく空気圧調整やタイヤ組み付け時に触っている部品ですが、空気の出し入れはしなくてはならないですが絶対に空気漏れがあってはならない安全に関わる重要な部品です。
そんなエアバルブの大手メーカー、太平洋工業様。
創業は1930年、当時日本での車輌生産はまだ始まったばかり、トヨタ、日産すら誕生していない時代に早くもエアバルブ生産を開始している老舗であります。
今では日本の新車装着シェア100%、海外でも20%という高い装着率を誇ります。
他にもTPMS送信機やエアコン用バルブ、更にはホイールキャップやエンジンカバー、ボンネットやトランクのヒンジ、オイルパンやピラー部材などプレス部材も生産しており目立たないものの乗用車に無くてはならないモノつくりを支えているメーカーです。
今回エアバルブの生産工場を見学する機会がありましたので、その模様をリポートしたいと思います。

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今回お邪魔させていただいたのは岐阜県にあります北大垣工場と美濃工場。
タイヤバルブやTPMSを生産している工場です。
写真の北大垣工場は敷地97,000㎡、非常に広大な敷地に周囲は一級河川の揖斐川が流れ、眼前には日本百名山の伊吹山山系が広がる風光明媚な場所であります。
さっそく工場内の模様を・・・といきたい所ですが工場内は撮影禁止ですので、いただいた資料を基にエアバルブの製造工程を説明させていただきます。

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今回見学させていただいたのはゴムバルブの生産工程で、多く用いられているTR413という規格品となります。
真鍮の芯(ステム)をゴムで囲うような構造となっております。真鍮の芯(ステム)をゴムで囲うような構造となっております。
ステムは真鍮の丸棒を冷間鍛造で大まかな形を作り(写真2)旋盤加工で穴あけと加工を行い(写真3)表面処理を行います(写真4)。
針金のような材料が機械を通るとヘッダーの状態で出てきて、旋盤の同時加工で一気に形になっていました。
このステムを型に並べ、熱で溶かしたゴムを流し込み成形(加硫工程)、これでゴムバルブの形となります。
熱を加える前の未加硫ゴム(写真5)はブチルゴム状で、ベタベタした柔らかい感触ですが加熱成形後は普段目にするゴムバルブ、全く異なる感触になってしまうのは驚きです。
熱、振動、太陽光などに晒される過酷な環境下での耐久性が求められる部品ですので過酷な環境下での耐久性が求められる部品ですので肝となるゴムの組成はトップシークレットだそうです。
なお、耐久性に関してはTR413規格の合格値を余裕でクリアしており、なお、耐久性に関してはTR413規格の合格値を余裕でクリアしており、例えば左右25度ずつ繰り返し傾ける【繰り返し25度傾け試験】では亀裂の無い基準値が4万回に対し太平洋工業製は100万回以上クリア、引っ張り破断荷重560N以上の規格に対し900Nと素晴らしい耐久性を誇ります。
しかし成形して完成ではありません、厳しい検査をクリアしなくてはならないのです。
ステムの曲がり、ネジ山検査、ゴムのはみ出し、傷検査、エア漏れ検査などを全数行い、クリアした物だけが出荷されます。
しかも検査は成形後単品とコア組み付け後のダブルチェック、不良品は絶対に出さないという拘りは徹底されており、これなら安心して使用できると感じました。
ここから大垣工場へ移動し、バルブコアの製造工程も見せていただきました。

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長さ約20mm、太さ約5mmという米粒大の小さなエアバルブは7点もの部品から構成されている精密部品。
これら細かい部品も全て自社工場内で製造され、自動化された機械で工程毎検査しながら製造されておりました。
工場全体の印象としては非常に整理され清掃も行き届き綺麗である事、徹底した検査を行っている事、自動化が進み非常に人が少ないといった点が印象的でした。
こうした徹底した品質管理から産まれる高い信頼性のエアバルブ、もちろんKYOHO製品もAGT以外は全て太平洋工業製エアバルブを採用しております。
冒頭にも述べましたが、安全に関わる重要な部品だけにしっかりした物を選びたいところです。
その点太平洋工業製なら安心して使用出来ますね!